アカイイト|SCENARIO −脚本−

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アカイイト

登場人物  ヒロキ 平々凡々、普通な感じの学生

      タカシ 金髪ピアス、チャラチャラした感じの遊び人

      友人  声のみ出演

      彼女(ヒロキの) 普通の女子学生

 

 

1    学校、教室。帰りのHR後

 

ヒロキが席で自分の左手小指を見ている。

小指からは赤い糸が出ている。

タカシ、ヒロキの席に近づいてくる。

 

タカシ  「帰んねぇの?」

 

     ヒロキ、小指を差し出しつつ、

 

ヒロキ  「見える?」

 

タカシ  「何が?」

 

ヒロキ  「……糸」

 

タカシ  「……いや、何も」

 

ヒロキ  「さっきから赤い糸が見えるんだ。触れないけど」

 

     ヒロキ、右手で糸をつかもうとするが通り抜けてしまいつかめない。

     タカシ、明らかに信じてない感じの口調で、

 

タカシ  「ほほー、そりゃすごい」

 

     タカシ、左手小指を見せつつ、

 

タカシ  「じゃ、オレはどうなのよ。 オレにもついてんの? 赤い糸」

 

     ヒロキには、タカシの小指から赤い糸がのびているのが見える

 

ヒロキ  「うん。ついてる」

 

タカシ  「わーお。カズコ? ナツキ? もしかしてヨシノ?」

 

ヒロキ  「……糸は上にのびてるよ」

 

タカシ  「おっ、じゃあサオリかな。屋上に呼ばれてるのよ、オレ」

 

ヒロキ  「……何人と付き合ってるのさ?」

 

タカシ  「女は質より量、がモットーなんだ」

 

ヒロキ  「……」

 

タカシ  「じゃ、そゆことで」

 

     タカシ、ヒロキの席から離れつつ振り返らずに

 

タカシ  「疲れてるなら、彼女にでも癒してもらえよ〜」

 

     ヒロキ、赤い糸を見つつ、

 

ヒロキ  「……彼女、か」

 

 

 

2    外、人どおり多めな通り。

     ヒロキ、信号待ち。携帯の時計で時間を確認する。

     隣で同じように信号待ちのカップルに目を向ける。

いちゃついてる2人の指が青色の糸でつながっているのに気づく。

 

 

 

3    ヒロキ、待ち合わせに使われそうな石像そばに到着。

周辺確認。携帯で時間確認。

 

近くにケンカしているカップル。

ヒロキ、口喧嘩に気づいてそちらに目を向ける。

カップルの指が黄色の糸でつながっているのに気づく。

 

着信音

彼女からのメール 文面「前。」

 

ヒロキ、携帯から顔をあげる。

通りの向い側に彼女をみつける。信号は赤。

彼女、ヒロキに左手を振る。

ヒロキ、振られている彼女の手の指から赤い糸がのび、

それが自分のものとつながっているのに気づく。

 

ヒロキ、彼女に視線をもどし、ほほえむ。

そのまま視線が上に動き、信号機(車向け)へ。

 

信号機、青信号部分をアップ

フラッシュバック いちゃついてるカップル・青い糸

信号機、黄信号部分をアップ

フラッシュバック ケンカしているカップル・黄色い糸

ヒロキ、怪訝な顔。

 

携帯の着信音

ヒロキ、ディスプレイを確認、出る

 

ヒロキ  「はい、もしもし」

 

友人   「ヒロキ? タカシのこと聞いたか?」

 

     フラッシュバック タカシ

 

ヒロキ  「? 何を?」

 

友人   「死んだ」

 

ヒロキ  「!」

 

     信号機、赤信号部分をアップ

     フラッシュバック タカシの指からのびる赤い糸

 

友人   「ついさっき屋上から落ちたらしい。 女子生徒に突き落とされたとか……」

 

     ヒロキ、携帯電話を切る。

信号が青になる。彼女がヒロキにむかって歩いてくる

右手アップ。 右手は肩にかけたバックの中に入っている。

 

     彼女がヒロキの前まで来る。

     ヒロキ、緊張した面持ち。

     彼女、バックから右手を出す。

     手にはリボンのついた小包。

 

彼女   「誕生日おめでとう!」

 

ヒロキ  「!」

 

     ヒロキ、驚きつつ右手でプレゼントを受け取る。

 

彼女   「びっくりした?」

 

     彼女、笑いかける

     ヒロキ、笑い返す

 

     ヒロキの後ろ腰アップ。

     ヒロキ、後ろポケットから左手でナイフを取り出す

 

     暗転

 

ヒロキ  「うん、驚いた」

 

END

著者コメント

  • テーマは『信号機』.
    余韻が残るようなホラーを目指しました.そうなってると嬉しいです.
    ( written by 高野莉子 )

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